Letter_18
10_ドットゲインの測定と計算の仕組み
今回はビジュアルドットゲインとメカニカルドットゲインの測定および計算方法について説明します。まず、ビジュアルドットの測定手順は以下のようになります。① 基材(用紙)を測定② ベタパッチを測定③ 指定された名目%のアミパッチを測定たとえばシアンの50%のドットゲインを測定する場合、図-17のような順番で測定することになります。この際、用紙やベタパッチはドットゲインを求めるアミパッチにできる限り近いパッチを測定します。(測定器によっては用紙やベタパッチの測定は初回のみ求められます。)図-17 カラーバー上のドットゲイン測定パッチこのようにして求められる数値はアミ点面積率(%)になります。ドットゲインは測定されたアミ点面積率(%)から名目ドット(%)を引き算することで算出します。たとえば、上の例で測定したシアンのアミ点面積率が64%だったとすると、そこから名目ドット(%)の50%を引き算して14% がドットゲインということになります。ここで、アミ点面積率の算出自体は測定器内部で実行されますが、以下のような計算で導かれています。たとえば、図-18の左図のアミ点のエリアを右図のように寄せ集めて、これが全体に占める面積の割合(ここでは、マゼンタのアミ点面積率)を a とします。(領域全体を1として考えます)測定によるマゼンタのベタ濃度(白紙基準濃度)が Ds だったとすると、マゼンタの画像部の反射率は 10-Ds となります。つまり、全反射におけるマゼンタドットによる反射の寄与は面積率X反射率で a ×10-Ds です。今度は用紙からの反射の寄与分を考えます。用紙の面積率は全体が1としたので 1-a になります。白紙基準濃度を使用しているので用紙の濃度は0、つまり反射率は1として考えます。用紙からの反射の寄与は1×(1-a) となります。マゼンタアミ点からと用紙からの反射をあわせて全領域からの反射は a ×10-Ds + 1×1-aこれがアミ点全領域からの反射率と等しくなるわけです。アミ点全領域からの反射率はアミ点パッチの測定濃度(用紙基準濃度)が Dt だったとすると 10 - Dt となります。つまり、10 - Dt = a × 10 -Ds + 1 × (1 - a) となるためが求めるアミ点面積率となります。図-18 ドットを寄せ集めたアミ点の面積率このように、測定濃度値からビジュアルドットゲインを計算する計算方式をマレイ・デイビスと呼びます。一方、メカニカルドットゲインの場合はどうでしょうか?しかし、測定濃度値からこのメカニカルドットの面積率を求める方法もあります。これが、ユール・ニールセンという計算方式で下のような計算式を使用します。ポイントはマレイ・デイビス式の濃度値をnで割った値を使用することです。このnファクターは基材やプレートのタイプによって異なります。一般的にはプレートメーカー*などからこのnファクターを入手します。自分でnファクターを求めたい場合は、面積率が50%と判明しているパッチを測定して、このアミ点面積率の値が50%になるようnを調整して求めます。*メカニカルドットゲインは、通常プレートのキャリブレーションのために使用されます。
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Letter_17
HOW DESIGN LIVEでの発表内容はもうご確認いただけましたか?
エックスライトPantone® は、色管理の科学と技術をご提供し、ブランドやコンバーターでパッケージのデザインや色の要求を実現するお手伝いをいたします。昨年、アトランタにて「HOW Design LIVE 2016」が開催され(昨年掲載された英語版のブログをご紹介しています)、エックスライトは出展いたしました。ここで発表されたデザイナーが求める色を実現する最新のカラーコントロールツールをご紹介いたします。「HOW Design LIVE 」は単なるカンファレンスではなく、業界をリードするデザイナーや企業が一堂に会し、インスピレーションとクリエイティビティを披露する場です。弊社はこの名誉ある場において、PantoneLIVE Cloud™, PantoneLIVE Designer, Digital Drawdowns, Digital Tolerances Guidesを発表しました。以上の図では、よく起こりがちな、パッケージの工程が進むにつれて、色が変わっていってしまう状況を説明しています。PantoneLIVEは、ターゲットとする色をデジタルカラーデータとしてを的確に共有することで、このような色の伝達のズレが発生する可能性を排除します。今日は皆様に、「HOW Design LIVE」で公表した、弊社の最新技術をご紹介します。1.PantoneLIVEクラウド
PantoneLIVEがあれば、サプライチェーンの全体が繋がり、より素早く正確なデジタルカラーを共有できるようになります。つまり、クライアントであるブランドとデザイナーが、インク、プリプレス、コンバーターや、印刷といった各工程の担当者たちと、全く同じデジタルカラーデータに基づき作業が行うことが可能となります。PantoneLIVE Librariesには現在、1万種類のPantone Colorsが蓄積されています。とはいえ、多くの場合、ブランド独自の色を利用する必要があることから、PantoneLIVEクラウドにはオリジナルカラーの生成機能も搭載いたしました。Tiffany、Veuve Clicquotといった名だたるブランド企業で利用されるように、Pantoneカラーをつくることができます。ブランドカラーの拡散は防ぎたい、または、サプライヤーとのカラーデータの共有においてセキュリティを確保したいということであれば、「プライベートクラウド」をご活用いただけます。パントンカラーの一例「Veuve Cliquot Yellow」2.Adobe® Illustrator®用PantoneLIVE デザイナーライセンス&プラグイン
わたしたちが色の言語をコミュニケーションするのはこのような方法です。エックスライトは最新のPantoneカラーをデザイナーが使うAdobe Illustratorに届け、デザイナーはエックスライトのプラグインツールでライブラリーを生成できます。Adobe Illustratorがデジタル・スタンダードにアクセスし、実際に最終のパッケージではどのような色の仕上がりになるかをより正確に確認することが可能になります。Adobe Illustrator でPantoneLive viewerを使えば、デザイナーは異なる素材でどのようにカラーが再現されるかを確認できます。この結果、求めるカラーと実現可能なカラーの間でどちらかを選ばなければならない状況もあるかもしれません。厳しい事実ですが、これは物理的に実現する際には避けられないことです。最終的には、どの素材を選ぶのか、どの印刷方式を選ぶのかは経済的観点からなされる場合が多いでしょう。デザイナーがにカラーのコミュニケーション手段やツールを与えることは、最良の結果を予測し、実現する助けとなるでしょう。上の画像は、インクや印刷基材がどのようにデザインに影響を与えるかを示しています。PantoneLIVEをデザイナーが使えば、求める色が最終製品ではどのように見えるのかを知ることができ、クラフトペーパー用のスタンダードを使用することでより最適なカラーを実現することができたでしょう。デザイン段階と全く同じ色ではないかもしれませんが、このデザインが印刷に行く前にデザイナーは現実的な色を確認することができたでしょう。3.Pantone Digital Drawdownsのご紹介
もちろん、プルーフや物的なサンプルは必要でしょう。しかし、デジタルカラーを導入することで、色に関わる不用意な誤解を最小限にとどめることができます。誰もが同じソースからデジタルカラーデータを取得できるシステムを構築することで、カラーの精度向上と市場導入までの時間が大幅に改善されるでしょう。特定の素材で色がどのように見えるかを示す段階では、インキ会社に行ってドローダウンを取得する必要はもうありません。弊社に蓄積された科学技術により、皆さんの作業工程を大幅に改善することができます。手作業により計測された高精度のデジタルドローダウンは、使いやすく、破れにくく、見本サンプル直接貼り付けて、プルーフや試作品やプレスシートの出来上がりを確認するのに便利です。4.Pantoneデジタルトリランスガイドのご紹介
さらに素晴らしいツールとして、デジタルトラレンスガイド(Degital Tolerance Guide)を活用し、予想される色の変化を視覚的に捉えることもできます。デルタE 2.0または3.0で「十分だろう」と考えていた昨日から、“正確な色の変化の理解”ができるようになるでしょう。色の変化、デルタEがどのような見た目になるか考えてみたことはありますか?Pantoneデジタルトラレンスガイドで、その全てをご確認いただけます。簡単に使え、色を事前に予測でき、色にまつわる議論の時間を大幅に減らし、意見の相違を現象することのできるツール、PantoneLIVE Cloud and Designer、Digital Drawdownsそして、Digital Tolerances Guidesが確認作業を簡素化し、マーケットへの距離を一段と短くします。
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#カラーマネジメント #色の管理 #カラーマネジメント印刷 #インクの色 #濃度計 #印刷密度 #カラーキャリブレーションソフトウェア #CMYK濃度 #マクベス標準光源装置#Japancolor標準印刷認証
Letter_16
09_ビジュアルドットゲインとメカニカルドットゲイン
今回はビジュアルドットゲインとメカニカルドットゲインの違いを説明します。まず、印刷の仕上がり、諧調再現をチェックするのはビジュアルドットゲインの役目になります。ドットゲインは印刷時の印圧などにより、基材(用紙)上の色材が押しつぶされて物理的な太り(広がり)が発生しますが、基材上のドットにはこれ以外にも光学的な太りの要素が存在します。図-15に示すように、本来は紙の領域によって反射される光などが、用紙内にもぐりこみ、インキの下にトラップされて反射されず、結果として諧調性が暗い方向にシフトします。そのほかにも照明がインキの厚みによってできる影(エッジロス)によっても微少ながら諧調が暗くなります。このような光学的な影響を「インキが太った」分に繰り込んでドットゲインとして勘定したものを光学ドットゲインと呼びます。「物理的な太り」とこの擬似的な「光学的な太り」をあわせたものがビジュアルドットゲインとなります。図-15 照明光のもぐりこみによる光学ドットゲイン一方、物理的なドットゲインのことをメカニカルドットゲインと呼びます。これは純粋にドット領域の太り量を指します。印刷機の印圧の調整やCTP版での印字領域のキャリブレーションチェックなどに利用されます。図-16の例をとると、プレート上で50%のドットサイズ(デザインの際のドットサイズ)が印圧などで用紙上で物理的に太り、このメカニカルドットゲイン分が6%、さらに光のもぐりこみなどによる光学的なドットゲインが8%上乗せされトータルのビジュアルドットゲインは6%+8%で14%ということになります。最終的に50%でデザインされた諧調が64%のドットとして再現されたということになります。図-16 ドットゲインの積み重ね50%で意図したサイズが64%に印刷されたということで、なんだか間違えて印刷されたように印象がありますが、これは、これで問題ありません。ドットゲイン管理は諧調のキャリブレーションなので基準どおりにコントロールされていることが重要になります。たとえばJapan Colorの標準印刷では名目50%のドットは14%のビジュアルドットゲインを持つことが正解なのです。
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#Xrite印刷 #Xrite色補正 #Japancolor標準印刷認証
Letter_15
08_ドットゲインについて
今回は濃度から派生する印刷品質の代表的な管理指標であるドットゲインについて説明します。印刷という色再現方式は1つ1つのドットには諧調が無く、プロセス印刷の場合、色の要素はCMYKの各インキ色(1次色もしくはプライマリーと呼びます)と用紙色およびその重ね合わせのRGB色(2次色といいます)で固定されます。そして、各ドットのサイズを小さくしておいて、十分離れた位置から見たときにドットの集合がフルカラーを再現するという並置加法混色の色再現になります。ですから、このドットのサイズや個数による領域のカバー率を正しくコントロールすることが重要になります。印刷の場合、さまざまな印刷方式はありますが、どんな方式でも色材を用紙(基材)に押し当て圧力をかけます。このため色材は潰れて広がります。つまり、印刷されたドットは版上で作成したサイズよりも大きくなります。この大きくなる度合いをキチンとコントロールしなければ、諧調表現が定まらなくなり、安定した印刷品質を実現できなくなります。この意味でドットゲインは印刷の重要な指標となっています。ベタ濃度や2次色が基準どおりに印刷されていてもドットゲインが基準から外れた場合諧調表現が変化し印刷されたイメージの色再現が変わってきます。(図-13 を参照)低いドットゲイン標準のドットゲイン高いドットゲイン図-13 ドットゲインの違いによる影響図-14にISOのオフセット向けドットゲインカーブを示します。これらはCTPに対応したドットゲインカーブになっていて、コンベンショナルなアミ点ではコート紙でAもしくはB上質でBもしくはCが推奨されています。またFMなどの非周期スクリーンではEのように高いドットゲインが用いられます。図-14 ISOのオフセット用ドットゲインカーブちなみにJapan Color認証ではコート紙で名目50%のドットで14%のドットゲインが基準として指定されています。しかし、印刷機の場合、プロファイルなどを適用しなくても(素の状態で)Japan Colorなどの標準の状態に近いことが望まれます。このため、ドットゲインの値も業界標準に合わせておくことがよりスムーズなワークフロー構築のために重要になります。ちなみに、ISOではデジタル印刷など必ずしもドットを使用しない印刷方式も視野に入れ、ドットゲインという用語は使用せず代わりにTVI(トーン・バリュー・インクリース)という用語を使用するようになっています。今回取り上げたドットゲインは見た目のドットゲイン、ビジュアルドットゲインに関して説明しました。このドットゲインの値はマレイ・デイビスという測定方式で測定されます。次回は、このビジュアルドットゲインと、もう1つのメカニカルドットゲインの違いを説明したいと思います。
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#Xrite印刷 #カラーマネジメント印刷 #色の管理
Letter_14
もはや視覚評価だけでは十分ではない?
色/カラーは大切と言われますが、なぜでしょう?実際、製造過程において色は欠かせない要素です。ですが、思い通りの色を製品で実現することは、以前より難しいと感じる製造者が増え、こうした製品のブランドを持つ会社はより厳しい基準や許容値を満たすことを求めています。なぜこのようなことが起こっているのでしょうか?色/カラーに関する技術が進化する一方で、顧客の要求は高度になっています。例えば、金属のパッケージ、パール加工、カスタムデザインのテキスタイル、鮮やかな新色を考えてみてください。様々な材料に対して色の一貫性を実現するのは困難になっています。例えば、家庭用のウッドデッキを考えてみてください。昔は、ウッドデッキには灰色か茶色か2つの選択肢しかありませんでした。当時は、デッキ全体で色の調和がとれていれば、それはいい仕事として評価されていました。しかし現在では、深い木目や、異国情緒溢れる色合いなど、あまりにも多くの選択肢が存在します。製造者は、2つや3つのパターンではなく、より多くの色の管理を行う必要があります。 つまり、今日では色を一貫して製造することが容易ではないのです。パッケージもいい例でしょう。かつては店の棚に並んでいたのは印刷の施された箱ですが、今では、フォイルパウチ、ブリスターパック、複数の素材を使ったパッケージが目につきます。半透明で反射性のある素材において、特に、色の管理は難しくなり、ある種類でうまくいく方法が他の素材では必ずしも役に立ちません。
上の写真は棚に並べられたパッケージデザインの様子です。パウチ、ラベル、カートン、ダンボールなどの色が視覚的に調和していません。これらは克服できる問題です。布地であれ、プラスチックであれ、塗料であれ、コーティングであれ、あらゆる業界で同じことが言えます。かつて合格していた色はもはや十分ではありません。さらに、消費者もブランド側も、色に対してより要求が厳しくなっています。色合いが正しく表現されていないと、消費者は商品の前を通り過ぎて、ライバル企業の他の製品を手に取るでしょう。注目を得ることのできなかった商品は、不良在庫となり、しまいにはゴミ箱行きです。これこそが、製造業者を苦しめる現状です。あなたは大丈夫でしょうか?下の質問の1つにでも「はい」と答えたとしたら、色の選定工程に改善の余地があります。* 色の評価のために屋外で、日昼光で確認を行っていますか?* 評価や承認を得るために、他の人に写真をE-mailで送っていますか?* どの色を製品として実現すればいいのか迷っていませんか?* 昔は承認された色が、現在では却下されていますか?Good Newsです。見直しを開始するためには多くの時間、資金、労力はかかりません。では、色の選定において最も起こりやすい間違いをご紹介しましょう。1. 間違った照明
下の画像は、色の評価になぜ標準光源が必要かを説明しています。ご覧ください。光の種類によって、赤の色合いがどれだけ変化するのか、一目瞭然ですよね。色温度が変化することで、見え方も大きく変わるのです。では、もしあなたのオフィスや研究室に設置してある環境光が標準光源にどれだけ近いのか分からない場合は、どうすればいいでしょう?そんな時には、PANTONE® ライティング・インディケーター・ステッカーD50をお勧めします。このシールにはそれぞれ、上下2色のパッチが用意されています。2つがぴったり同じ色であれば、その場所は自然な日中の光と同じであると考えることができます。違いが見られれば、色の判断をする前に標準光源の下に移動すべきでしょう。もちろん、お気づきのように、「PANTONE® ライティング・インディケーター・ステッカーD50」を使っても、蛍光灯、白熱灯、LEDなどの設置された店舗や家庭、オフィスでどのような見た目になるのかはわかりません。完成品が実際に、どのような色に見えるのかを知るための最善策は、標準光源ブースを使うことです。特に、携帯電話のケースと携帯背面のカバー、車のサイドミラーといった、組み立て式の部品をつくる場合には、すべての色が調和する必要があるので注意が必要です。「完璧につくりあげた試作品」が、必ずしも、店舗やショールーム、家庭で思い通りの色に見える訳ではありません。標準光源ブースはそれほど大きな投資ではありません。しかも、色の選定失敗ややり直しが減れば減るほど、その投資分は回収できることになります。標準光源ブースの活用については、視覚的に色を判断する際のコツ10選をご確認ください。2. 色の認識能力についての過信
多くの人が、自分の視覚の不完全性に気づいていません。実際、これはあらゆる人に言えることです。男性の13人1人、女性の300人1人が、色の認識における何かしらの問題があると言われています。色の選定を担当する人であれば、視覚のテストを受けることが必要かもしれません。より簡易的な手段をお求めであればオンラインカラーチャレンジが便利です。3. 間違った色見本
色の判断のために物理的な見本を使用していますか?色の把握において、実際の見本を元に色を評価するのは、効果的なコミュニケーション方法です・・・ただし、その場合は、基本的なガイドラインに従っていなければなりません。第一に、そのような見本は正しい素材でつくる必要があります。例えば、あなたがタオル用として使われるテリー織の布を製造しているとします。その場合に紙の色見本を用いてしまうと、正確な色の実現が難しくなります(テキスタイルカラーマネジメント)。素材によって、顔料、インク、染料への反応が異なるため、同じ素材でできた見本で色の判断を行うようにしましょう。これは製造業者にとってストレスになりやすいポイントです。さらに、見本は汚れやシミ、色あせなどの影響が考えられますので、実物サンプル管理方法の徹底解説を参考に、正しくサンプルを管理するようにしましょう。こちらの品質管理マネージャーは、Judge QCライトブースの中で、テキスタイルのサンプルを色の基準と照らし合わせて、異なる光の下でも正確な色が表現できるように細心の注意を払っています。4. デバイスごとに異なって色を表示
電化製品の展示場や販売店を訪れたことがある人なら、並んでいるテレビそれぞれが、同じ画像なのに色を異なって表示していることに気づいたことはありませんか?このようにデバイスによって色が異なって表示されるのは大きな問題です。しかし、携帯、タブレットやパソコンの画面を使って色の決定を行う時に、多くの人はこの点を気にしていません。あなたのデジタルカメラは正しい色を撮影していますか?その写真のデータを送信したとしても、それを受け取った評価担当者は、正しい色が「見えている」のでしょうか?写真データの転送は色を判断する上で決して最善の策ではありませんが、実物サンプルの共有が難しい場合には、使用するすべての端末の色補正を行うことが効果的です。視覚だけを頼りに色を決めていませんか?
「素晴らしい色」の実現は終わることのない旅のようなものです。新たな素材や製造方法の登場で色の管理が複雑化していますが、一方で色管理のツールも進化しています。これらを使いこなして、正しい色に近づきましょう。標準光源や色彩測定ツールをすでにご利用されている場合には、あなたの旅路はもう少し先にまで進んでいることになります。今後のブログでは、より踏み込んだ内容をご紹介する予定です。どうぞお楽しみに!
この記事はX-rite Japanより承諾を得て引用されています。
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Letter_13
自社とサプライヤーの測定値は 一致していますか?
自社とサプライヤーの測定値は
一致していますか?測定値がサプライヤーの測定値と異なることがありますか?実は、こうしたお客様は多いのです。これは、解決しなければならない重要な問題です。もしあなたの測定値がサプライヤーのものと一致しない場合、「合格」であるべき材料を「不合格」としてしまうかもしれず、また「不合格」の材料を「合格」するかもしれません。結果的に、間違った色を作るために時間と労力と多くのお金を費やすことになってしまうのです。ブランドなどの指示者とサプライヤーの測定値が一致しない、最も一般的な5つの理由をここにまとめました。1.異なるデバイス
あなたとサプライヤーが異なるデバイスを使用して色を測定している場合、測定結果には多少のばらつきが出ます。異なるメーカー、異なるモデル、新しいデバイスか古いデバイスかでさえ、不一致を引き起こす原因になります。例えば2台のコンピュータのように考えてください。同じオペレーティングシステムを使用している場合でも、その動作は少し異なると予想できると思います。機器の反復性と再現性を調査することで、その機器が安定した結果を生み出すことができるかどうかを確認することが出来ます。球面を測定するなど、一貫したカラーデータを収集することが難しい測定箇所の場合も、測定値にズレが出る原因となります。場合によっては、同じアパチャー径を使用してそのズレを減らすことができますし、また、デバイス同士の測定値を近づけられるような変換をすることも解決策の一つです。Ci64で塗料サンプルを読み取る様子理想的な状況は、サプライチェーンの全てにおいて同じタイプのデバイスを使用することです。機差を理解する(Understanding Inter-Instrument Agreement)のブログでは、機器の機差とは何か、モデル間機差や反復性とは何が違うのか、なぜこれらをカラーワークフローで考慮すべきなのかをご紹介しています。2.デバイスの不十分なメンテナンス
あなたとあなたのサプライヤーが同じ計測器を使用していても、正確で一貫した結果を得るには、双方のデバイスが最良の状態である必要があります。デバイスをカメラだと考えてみてください。レンズが汚れていても、クリアな画像を撮れるでしょうか?また、定期的にキャリブレーションを行い、デバイスを工場出荷時の設定に戻す必要があります。私たちは仕事を開始する度、少なくとも1日に1回はキャリブレーションすることをお勧めします。キャリブレーションを行わずに長時間使用すればするほど、デバイスは標準化された状態、またはキャリブレーションされた状態の値から離れていきます。定期的にメンテナンスを行い、校正証明を得ることは、あなたのデバイスが正しい状態で活用され、計測できているという最大の証明となります。もちろん、メンテナンスされ、キャリブレーションされ、校正証明を得たデバイスだとしても、サプライヤーも同じようにデバイスを管理していなければ、一貫した結果を得ることは出来ません。特に測定値が異なる問題に直面している際には、分光測色計をメンテナンスに出すことを躊躇してはいけません。病気になったときに、学位を証明できず、器具が清潔に維持されていないような医者に行くでしょうか?3.異なる基準
エラーを起こすもう一つの原因は、異なる基準を使用することです。あなたとサプライヤーは、合理的かつ実現可能で、望ましい結果を反映した明確な基準を持つべきです。双方の条件を考慮することが必要です。同様に、双方で測定方法が同じであるかを確認する必要があります。例えば、プラスチックサプライヤーがペレットホルダー内のペレットを測定しているのに、あなたがクイックメルトプロセスを使用してプラークを測定している場合などには、非常に異なる結果となってしまいます。テキスタイル、印刷、自動車、塗料、食品、化学薬品、包装、プラスチックなどの多くの業界で、最も正確にカラーをコミュニケーションするために物理的なスタンダードを使用することはよくありますが、それら物理的スタンダードが適切に扱われていないと、ビジネスに大きな損害を与える可能性があります。 Ultimate Guide for Caring for Physical Samples (サンプル見本の取り扱いガイド) に従い、そしてそれをサプライヤーと必ず共有しましょう。4.ヒューマンエラー
特に大規模な工場では、人為的ミスは測定データが一致しない最大の原因の一つです。工程を確認し、明確で簡潔な手順を提示していくことは、不良データを防ぐ最善策の1つであり、ワークフローの反復性と再現性を向上させます。5.間違ったコミュニケーション
これまでに述べてきたこと既に全てが十分に確認されているのであれば、問題はあなたとサプライヤー間のコミュニケーションにあるかもしれません。すべての設定と潜在的限界について、双方がきちんとコミュニケーションすることで、測定値とデータ結果にどのような問題が起こっているのかを十分に理解することができるのです。1トンのプラスチックペレットを注文する時に一番避けたいことは、色の不良で到着したペレットを全て却下することです。製造業者にとって莫大な材料の損失が発生するだけでなく、あなたは生産オーダーを待たなければならず、あなたのビジネスにも損害を与えます。最初から明確な目標を設定するよりも、後ろに遡って作業することはずっと難しいことです。あなたが話し合わなければならないことは•測色計モデル•測色計ジオメトリ•アパチャーサイズ•光源、オブザーバーとイルミナントテーブルの設定を含むデバイス設定(表5または表6は、比色分析で使用するためにCIEによって認定されています)•基準となるバッキング(100%未満の不透明な素材はバッキングを基準化することが必要です)•キャリブレーションのスケジュール•工場のメンテナンスと校正証明希望があります!測定の精度を確保するために、サプライヤーと話してください。その答えは長期的に見れば双方の時間とお金を節約になります。測定値の不一致の原因をまだ見つけることができない場合は、こちらにご連絡ください。当社は、問題を特定し、業界、ワークフロー、およびニーズに最適な解決策を見つけるための検査およびカラーマネジメントソリューションを提供しています。
Letter_12
07_白紙基準濃度って何だ?
濃度測定の設定項目でもう一つ大切な要素が用紙濃度を含んだ濃度を測定するか、含まない濃度を測定するかという設定です。用紙濃度を含まない設定は「マイナス用紙濃度」といったり「白紙基準濃度」、「相対濃度」「pap」などと呼んだりします。全て同じ意味です。一方、用紙濃度を含む濃度は「絶対濃度」や「白色基準濃度」「abs」などと呼び、こちらも全て同じ測定モードになります。マイナス用紙濃度は、単純に測定濃度から用紙の濃度を差し引いた濃度です。図-12 の例をとると、マゼンタの測定(絶対)濃度が1.50として、用紙のマゼンタ濃度が0.08だとすると単純に1.50-0.08=1.42として1.42がマイナス用紙濃度となります。なぜこの用紙濃度を差し引いた濃度を使用するのでしょうか?これまで何度も説明してきましたようにインキ内の色材量のみに注目した濃度値が欲しいためです。用紙の濃度はインキ塗膜内の色材量とは関係しません。ですのでこの分を差し引きたいわけです。しかしながら、白紙濃度を差し引いただけで白紙基準や相対濃度といった呼び方は何か不自然なような気がしませんか?私も当初はこれらの呼び方に違和感があったのですが、良く考えてみると、濃度は常用対数のlog10をとるわけですから、反射率の逆数(吸光率と言っておきます...)10(濃度値)に戻した場合、マイナス用紙濃度の場合の吸光率は10(絶対濃度-用紙濃度)、つまり10(絶対濃度)/10(用紙濃度)となり、用紙濃度を基準とした比となることが分かります。絶対濃度の場合は10(濃度値)の代わりに完全拡散白色の反射率=1の逆数、つまり1が使用されます。このため白色基準などと呼ばれます。図-12 絶対濃度とマイナス用紙濃度この場合も絶対濃度とマイナス用紙濃度どちらを使用するかは状況によります。生産現場、つまり印刷機横での色材量(インキ塗出量)管理ではマイナス用紙濃度の利用価値があると思います。また、見た目の濃淡という意味では用紙の濃度も含んで判断するため、絶対濃度のほうが目視との相関に優れるといえます。印刷の現場ではいずれを使用しても問題ないと思いますが、どちらかに決めて運用することが大切です。これまで「濃度ステータス」や「POLについて」などでも濃度設定について取り上げてきましたが、これらの設定は大きく分けると2つの組み合わせに分けることができます。1つは印刷現場での色材量(インキ塗出量など)管理のための指標としての濃度利用で、「ステータスE」+「偏光フィルター(POL)あり」+「マイナス用紙濃度(pap)」の組み合わせがよく使用されます。2つ目はQA的というか見た目との相関を重視した濃度利用で、「ステータスT」+「偏光フィルターなし」+「絶対濃度(abs)」の組み合わせで使用されます。濃度というのはどちらかというと最終製品における視覚的特性の基準に用いるというよりも、生産の現場における管理指標として使用される側面が大きいため日本では、比較的(1)での設定のほうが多く利用されているように思われます。(ちなみに、米国では(2)が主流です。)ただし、これらの組み合わせが一般的だというだけで、必ずしもこれらの組み合わせでなければ駄目だというわけではありません。大切なことはこれらの設定が異なると濃度値が変わるということです。このため、自社での濃度基準がどの設定で定義されているかを正しく認識し、常に同じ設定モードで濃度を運用することが大切です。